2020年2月15日、第20回鹿児島腎と薬剤研究会を開催しました。
この度も多くの先生方にご来場いただき、ありがとうございました。
新型コロナウイルスの感染拡大が広がりを見せる中でしたが、開催できて一安心でした。
【一般講演】
「血液透析患者におけるカルニチン血中濃度の変化についての検討」という演題名で、社会医療法人天陽会 中央病院 小牧誉典先生(右写真)にご発表いただきました。
透析患者では食事摂取の問題や血液透析でのカルニチンの除去などで遊離カルニチンの欠乏が起こりやすいことが知られています。
今回の発表は血液透析患者へのレボカルニチン投与により腎性貧血の改善及び栄養状態の改善に効果があることが示唆されました。
また、レボカルニチン投与中止後の血中濃度は12か月後でも正常範囲内に保たれており、投与量及び投与頻度を減らしても効果が期待できる可能性があるという内容でした。(左写真は座長の加納先生)
薬剤投与の提案だけで終わらずに、投与後の効果や副作用のモニタリングも継続して関わっていくことが必要だと感じました。
【特別講演】
今回は、当会発足以来初めて、医師の先生をお招きしてご講演いただきました。
「西内科・循環器科」の西 征二先生です。(右写真)
演題名は「かかりつけ医による薬物療法とCKD~高齢・高血圧・心房細動・心不全の併発症例~」。
主に、心房細動(AF)とCKDに関係について、先生ご自身で取られた生の診療データの分析結果を絡めてお話ししていただけたので、非常にリアルで、やはり腎機能の継続したモニタリングは大事なんだと改めて考えさせられる内容でした。
AF患者さんは、腎機能が低下しやすく、CKD患者さんは2年で約1.4倍になったというデータが挙げられていました。
アブレーションでAF発生を抑制したら、腎機能が改善したというお話もありました。(右写真は座長の鎌田先生)
CHADS2スコアが上がるにつれて腎機能が低下するというお話もあり、やはりCKDは「全身疾患」なんだなぁと感じました。
また、血圧コントロールが悪いと腎機能は悪化することは既知の事実ですが、本講演では、心房細動患者の61%、糖尿病患者の36%が降圧目標未達成という報告もあり、そういうところのケアもやはり日々意識しておかないといけないようです。
さらに、心房細動患者の全死亡リスク因子について、1位は「75歳以上」でしたが、2位に「腎機能」が入っていて、「がん」や「肺疾患」より影響が大きいことも示されました。
新規透析導入患者さんは日に日に増えている現状があります。
日頃から、血圧や血糖値をしっかりコントロールして、いかにCKDにシフトさせないかが今後は重要になってくるものと思われます。
現場の私たちは、そこを意識した患者ケアを心掛けたいですね。
ここで、西先生の著書を一つご紹介させていただきます。
先生は数々の論文や著書をご執筆なさっておられますが、下の写真は最も最近の著書になります。
今回のご講演では、この中の内容についてもいくつか触れられていました。
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